AI検索の計測
AIショッピング検索は、AIごとに引用元が違う:3つの調査から考える「AI別に測る」理由
買い物の質問へのAIの回答を調べた3つの調査(Genview・AEOsome・PageTraffic)では、AIごとに引用元や商品の出し方が大きく違いました。調査ごとの範囲の違いを踏まえて要点を整理し、日本のEC・ブランドがAI別・質問の段階別に測る手順をまとめます。

この記事について
この記事でわかること
- 3つの調査が、それぞれ何をどの範囲で調べたのか
- AIごとに、引用元や商品の出し方がどう違ったか
- 調査の範囲の違いをどう読み、自社でどう測ればよいか
「AIで商品を探す人が増えている」とよく聞きます。でも、その「AI」はひとつではありません。
2026年秋に、買い物の質問へのAIの回答を調べた調査が3つ公開されました。読み比べると、ChatGPT・Gemini・GoogleのAIモード・Perplexity・Copilotなどで、根拠として引用するサイトの種類も、商品カードを出す頻度も、かなり違います。調査ごとに範囲が違う点に気をつけながら要点を拾い、日本のECやブランドが何をどう測ればよいかを考えます。
出典:Genview(FID Ltd.)「AI Cites Shopify Stores’ Blog Posts, Not Their Product Pages」(2026年10月2日更新)、AEOsome Research「AI Shopping Visibility Study 2026」(2026年10月11日)、PageTraffic「Ecommerce SEO Is Not AI Visibility」(2026年9月)。数値は2026年10月12日に各ページで確認した内容です。
3つに共通するのは、AIごとに買い物の答えの根拠も中身も違う、という点です。定義も範囲もばらばらなので数字同士は比べられません。だからこそ、自社のカテゴリで測るしかありません。
3つの調査は、調べたものが違う
同じ「AIショッピング」でも、対象・AI・質問・数え方がそれぞれ違います。
| Genview | AEOsome(Study 2) | PageTraffic | |
|---|---|---|---|
| 調べたこと | 引用されたページのうちShopifyストアのページの割合と種類 | 商品カードの有無、カード内のブランド・販売店、引用元の種類 | Googleの上位10件とAIの回答で名前が出る・リンクされるサイトの比較、AIエージェントの購入テスト |
| AI | ChatGPT・Gemini・Perplexity・Grok(ウェブ検索あり) | ChatGPT・GoogleのAIモード・Microsoft Copilot・Perplexity | ChatGPT・Gemini・Perplexity |
| 質問 | 英語50本(10カテゴリ×5種類)を2回。日本語25本も別に集計 | 7カテゴリの5,584本(重複を除いた回答22,335件) | 美容・アパレルの162本を3回ずつ(回答1,458件) |
| 市場 | 英語(日本語は別集計) | 米国・英語・ログアウト状態 | バルト三国、ドイツ・ポーランド、米国 |
| 時期 | 2026年10月1日 | 2026年5月5〜14日 | 2026年9月16日 |
どの調査でも、AIによって引用元が分かれた
AEOsome:AIごとに「読んでいるウェブ」が違う
AEOsomeの調査(Study 2)では、引用元の種類の構成がAIごとにまるで違いました。
- GoogleのAIモード:引用元の35.1%がコミュニティ(YouTube 13.0%、Reddit 12.1%など)。回答の51.8%がRedditを引用
- Copilot:小売36.5%、マーケットプレイス15.0%。amazon.comだけで12.4%
- ChatGPT:49.9%が編集系(媒体・レビュー・ブログなど)。回答の14.5%は引用なし
AI同士で引用されたドメインの重なりは、Jaccard指数で0.06〜0.12とわずかです。商品カードを出す割合も、AIモード64.4%、Copilot 44.5%、ChatGPT 28.5%、Perplexity 5.0%と開きがあり、4つすべてで商品カードが出た質問は1.6%しかありませんでした。
Genview:Shopifyストアの引用されやすさが、AIで7倍違う
引用されたページのうちShopifyストアのページが占める割合は、Gemini 36%、ChatGPT 25.1%、Grok 14%、Perplexity 5.1%でした(2回分の合計)。Shopifyストアの引用の約3分の2はGeminiによるものです。
PageTraffic:Googleの順位をなぞるAIと、なぞらないAI
PageTrafficの調査では、Googleの上位10件の50%が、同じ質問への9回分のAIの回答のどこにも、名前もリンクも出てきませんでした。Googleの1位ですら21%は出ていません。AI別では、Perplexityは回答あたり14件の情報源を挙げ、94%の回答でGoogleの上位10件にリンクしていました。Geminiは逆で、Googleの1位の名前を49%の回答で挙げながら、リンクしたのは14%でした。
「選び方」と「購入」で、根拠が入れ替わる
Genviewの調査では、引用されたShopifyのページ704件のうち76.3%がブログ記事で、商品ページは5.7%でした。質問の種類別に見ると、「選び方」(156件)と「違い」(148件)では92%がブログ記事で、商品ページは0件。商品ページの引用(40件)のうち34件は「おすすめは?」型の質問でした。
AEOsomeの調査でも、購入に近づくほど引用元が変わり、購入を実行する段階では小売寄りになっていました(Study 2で48.5%)。予算を決める段階の質問では商品カードの割合が高く(4つのAIの合計で54.8%)、購入後の質問では低い(14.7%)という差もあります。
もう一つ、AEOsomeは商品カードと引用は別物だと指摘しています。カードは商品のインデックスから組み立てられ、引用は回答の文章を裏付けるもの。実際、Study 1(ChatGPT・ワンピース)では、カードに出た商品の販売先が回答の引用元に含まれていたのは19.1%でした。
聞き直すだけで、結果が変わる
1回確認しただけでは判断できません。
AEOsomeの調査で同じ質問を同じAIに聞き直した組では、商品カードが出るかどうかが一致した割合は、AIモード89.8%、Perplexity 86.4%、Copilot 75.4%、ChatGPT 57.6%でした。ChatGPTは、2回とも同じモデルが答えた場合は90.2%、モデルが切り替わった場合は25.5%まで下がります。PageTrafficの調査でも、同じ質問の3回の回答で挙がるブランドの重なりは平均0.65でした。
数字を比べる前に、「何を数えたか」を見る
たとえば別の記事で紹介したKern Mediaの調査では、推薦を求める質問で、主にChatGPTの回答を対象に、引用全体の84.2%が推薦される会社のサイトで、会社サイトへの引用のうちブログ記事は6.9%でした。ところがGenviewの調査では、引用されたShopifyのページの76%がブログ記事です。
矛盾しているように見えますが、数えた範囲が違います。
- Kern Media:推薦を求める購買検討の質問(8業種)。主にChatGPT。推薦される会社のサイトへの引用を、ページの種類で分類
- Genview:選び方・違い・使い方・おすすめなどの買い物の質問(10カテゴリ)。4つのAI。Shopifyストアのページだけを、URLで分類
- AEOsome:買い物の質問を9つの意図の段階に分け、引用元をドメインの種類(編集・小売・コミュニティなど)で分類
- PageTraffic:名前が出たか・リンクされたかを、Googleの順位と比較
質問の種類、対象のAI、数える単位が違えば、結論も変わって当然です。共通しているのは、AIごと、質問の段階ごとに結果が違うということだけです。
どれも主に英語・欧米市場のデータという点も忘れずに。Genviewは日本語の質問も25本試していて、Shopifyストアの割合は8.8%と英語より低めでした。同社は、日本のECではShopify以外のカートや大手モールの利用が多いためだと推測しています。それでも、ブログ記事が多く引用され(66%)、「選び方」の質問で商品ページが引用されない傾向は英語と同じだったそうです。
私たちの見方
ここからはRenpo AIO編集部の見解です。
「AIでの見え方」を1つの数字にまとめない
AIによって引用元も商品カードの出し方も違うのに、まとめて1つのスコアにすると、どこで負けているのかが消えてしまいます。AEOsomeの調査の考察も、AIの可視性は1つの数字ではなく、AIごと・意図の段階ごとに測る必要があるとしています(→ ChatGPT・Gemini・Google AI概要・AIモードの違い)。
段階が変われば、効くものも変わる
調査を合わせて読むと、選び方や比較の段階では解説記事やレビュー・コミュニティが、購入に近い段階では商品データや小売のページが効いている、という見立てが立ちます。日本はモールの比重が大きいので、自社サイトの記事・商品ページだけでなく、モールの商品ページや比較サイト、口コミがどの段階で根拠になっているかも見ておきたいところです(→ ファッションECのAIO設計)。
外部の調査からは、測り方を借りる
調査の数字は、自社のカテゴリの数字ではありません。借りるべきは「何を、どの単位で測るか」の設計です。質問を段階で分ける。AIごとに分ける。聞き直して割合で見る。引用元を種類で分ける。どれもそのまま自社の観測に使えます。
自社のカテゴリで測る手順
1. 買い物の段階ごとに質問を用意する
自社名を入れずに、「選び方」「比較・違い」「予算つきのおすすめ」「購入(どこで買えるか)」の4段階で、それぞれ3〜5本の質問を決めます(→ 自社がどう紹介されているかを調べる方法)。主要カテゴリごとに分けておきます。
2. AIごとに、露出・引用・推薦と引用元の種類を記録する
- 回答に自社ブランドが出たか(露出)、自社サイトが根拠になったか(引用)、どう書かれたか(推薦)を分けて記録する
- 引用元を「自社サイト・モール・小売・媒体・レビュー・コミュニティ・動画」などの種類で記録する
- 商品カードが出た場合は、引用とは別に、どの販売先にリンクしているかを記録する
3. 聞き直して、割合で見る
同じ質問を日を変えて繰り返し、「何割の回答に出たか」で判断します(→ AIの回答はなぜ毎回変わるのか)。
4. 負けている段階とAIから直す
選び方の段階で出てこないなら、解説記事や、第三者の比較・口コミでの扱いを確認します。購入の段階で出てこないなら、商品データ(価格・在庫・仕様)がAIや販売先に正しく渡っているかを見ます。直した日を記録して、同じ質問で数週間後に比べます。
「AIで見つけてもらえているか」という問いには、AIごと・段階ごとに測らないと答えが出ません。まずは自社のカテゴリで、いまの姿を記録するところからです。
Renpo AIOは、ChatGPT・Gemini・Google AI概要・AIモードに同じ質問を継続して投げ、ブランドの露出・引用・推薦を割合で記録する分析ツールです。AI別・質問別の見え方の基準線づくりにお使いいただけます。
参考資料
参考情報
内容の確認に使用した外部資料です。公開後に内容が変更される場合があります。
- genview.iohttps://genview.io/shopify/ai-citations-research/
- aeosome.comhttps://www.aeosome.com/blog/research/ai-shopping-visibility-study-2026/
- pagetraffic.comhttps://www.pagetraffic.com/blog/ecommerce-seo-ai-visibility-agentic-shopping-research/
- kernmedia.comhttps://www.kernmedia.com/ai-search-citation-study/
Renpo AIO
自社がAI検索でどう見えているか、継続して測る。
ChatGPT・Gemini・Google AI概要・AIモードでのブランド露出と引用を、同じ質問で観測できます。
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